HOLY RICE SCRIPT Ⅱ

HOLY RICE SCRIPT Ⅱ

 

ぼくの正は

 

昨晩からあらがえない程の炊き込みを注ぎこまれ

必要に応じて米を受け入れやすい肉体に変造され

 

その暗澹たる饗応のなか

 

炊き込みの大波は、消化器系統から五体のくまなくを侵襲。

正の、血を流してでも米をその肉体に受容しようという強い意思以外の

殆ど全ての精神的構造を洗い流してしまった

 

汚れた便器に腰かけたまま、息をひきとるポコニャン

汚れた便器に腰かけたまま、息をひきとるポコニャン

 

黄金に波打つ、米粒で出来た大波のイメージが、天動説の天球モデルのように彼の世界を覆っていた

それよりほかには米が食道瘻を起こして千切れかけた食道を通過していく感覚より他に、彼の五感は何も受け入れることはない

 

そもそも彼の人生を通じて、米を食っている以外の記憶は殆ど存在しなかったのだけれども…

 

唄って踊って炭水化物(世界のみなさま)

唄って踊って炭水化物(子供はかわいい!)

唄って踊って…

(※人種や宗教を越えて、子供たちは我々人類のプライスレス共通財産だと僕は考えています。)

 

最早明日納期の書類は、キャパオーバーの元コシヒカリの汚物に埋もれて活字は判別できず、曇りガラスの向こうでは激しい雨が降りやまず、正は、それがトタンに打ち付ける音が、限界超えの胃袋の脈動的な断末魔の悲鳴と同期していることをかすかに思う。

 

♪♯1

ドクドク、ワクワク炭水化物(C )

バシャバシャ胃液の博覧会(Db/F)

朝から晩まで米受け入れて(G7 )

貨幣なくして納税なし(Am)

(Chorus:通貨なくして血流なし)

♪♯2

でんぷん刃物に貫かれ(Db/F)

空飛ぶ米櫃どこまでも(Db/F)

正は、1000の、山々も、越えて、いく(Am)

立派な立派な鋳造紙幣(C )

父ちゃん自慢の電動折畳み式の馬鹿息子(Am)

頭蓋にさえ米詰めた自分を持たぬ優しい息子(G7 )

(Chorus:通貨なくして血流なし)

 

「お、とうちゃん、お、とうちゃん。こ、め。うめぇよぉ」

 

”O'Torture,O'Torture, Comme…Uh, Meiryo”

”O'Torture,O'Torture, Comme…Uh, Meiryo(5pt,Bold)”